上州随筆俳句

 長くアマ無線をやってきましたが、一昨年、電信愛好家のためにパソコンによる電信自動送信装置「CWBOARDKK」を作りました。
 本ブログには、アマ無線の活動及び古稀世代の色々な方面について、感じたままの随筆と俳句が書いてあります。
 

ロシア女

 二年ほど前の事だったと思うが、虎の門病院に用事があって出掛けた。
 混んだ地下鉄から階段を登り、快晴の空を見て、日の当たる道をゆっくりと歩いていた。
 そしたら、反対側の歩道だが、少し向こうから、色の白い若い女がやって来た。
 その肌の白さから、日本人では無いとすぐに分かった。
 北欧か、ロシア系に見えた。恐らく、風貌からしてロシア系だったと思う。
 その若い女も、私の方をじっと見ながら、近づいて来る。
 若い綺麗な女を見たくなるのは、男の本能だから、仕方ない。
 だから、街中で、そんな女を見た時は、いつも遠慮無く、拝見している。
 ロシアの女は、若い時は、ほっそりしているが、結婚して暫くすると、ものすごく太り、別人の如くになるのが、殆どらしい。
 寒い国の人種だから、やはり、太って身体の容積を大きくしておかないと、寒さに負けてしまうのだろう。
 昔、ロシアの大統領だった、フルシチョフの奥さんが、その典型だった。
 若い時は、それなりの女だったのだろうが、並んだ写真を見ると、隣のフルシチョフよりも、横幅があるように見えた。
 そんな事を考えていたら、その若い女との距離は、どんどん縮まった。
 その女がニコッとしたら、私も、すぐに遅れずに、笑顔を送ろうと身構えた。
 以前にも、こんな場面から、沢山の物語が始まった事が多かったからである。
 いよいよ至近距離に来た。
 そしたら、何と、その若い女は、私を軽蔑するように、急に、そっぽを向いて、擦れ違ったのだ。
 恐らく、若い女は、自分をじっと見られたから、不愉快だ、と言うシグナルを送ったものと見える。
 その筋のお方が言う、「てめえ、ガン付けやがったな」である。
 折角、いい女だと思って居たのに、途端に、気分が悪くなった。
 確かに、私は、貴女を見ていたけれど、その貴女だって、私をじっと見ていたでは無いか。      
 即ち、ガン付けは、お互い様と言うものだ。
 私の視線に気がついたと言う事は、そっちも、私をじっと見ていたと言う、何よりの証拠である。
 お前が、私を見ていなければ、私の視線に気がつく筈が無いのだ。
「この売春婦の尼っ子め、早く、腹上死で、くたばれやがれ」 
 その後ろ姿に向かって、私は、訳の分からない事を、ともかく思いっきり、叫んだ。
 勿論、無言だが。
 出来れば、ロシア語で、最も卑猥な単語を叫びたかったが、生憎、そのロシア語を知らなかった。
 それにしても、あの女、何で私をじっと見ていたのだろうか。
 これが、もしも、ニコッと笑顔を見せて、本当に売春婦だったら、私は、躊躇する事無く、すぐさま、近くのホテルまで手を引っ張って行ったと思う。
 他にも、幾つか、女を見つめたら、不愉快な結果に遭遇したのもがあるが、大抵は、楽しい結果になったものだ。
 従って、恋は、ある日、見つめる事から始まるは、至言だと思う。
 まあ、女も、人間的波長が違えば、不愉快な対応をする事があるのは、よくある事だ。
 それは、一切、気にしない事だ。 
 だから、幾つか厭な経験をしても、私は、めげずに、相変わらず、人混みで、綺麗な女を見れば、遠慮無く眺めている。
 綺麗な女というのは、ミスユニバースの優勝者という意味ではありません。
 未だ嘗て、ミスコンの優勝者をネット等で見ましたが、綺麗だと思った事は、私は、殆ど無いと思います。
 どうして、スタイルとかで美人を決めるのか、私には意味が分かりませんね。
 スタイルは、二の次で、美人はやはり、顔だと思います。
 顔というと、何か、面食い、浅はか、と言われそうですが、そうではありません。
 人間の顔には、その人の人生、思想、健康状態が表出されている、と私は思っています。
 だから、数年間、会わなかった人でも、その顔を見れば、その人が、今、どんな状態にあるのか、私は、ほぼ、間違いなく、見当を付ける事が出来ると確信しています。
 政治家でも、運動選手でも、芸術家でも、いい顔の人は、それなりの仕事をします。
 前にも書きましたが、格闘技の優勝者ですら、いい顔をしていますね。
 今まで、ごつい、怖い顔をした人が優勝者になったのは、見た事が無いです。
 あの、ボクシングのモハメッド・アリも、とても良い顔をしていましたね。 
 十数年前になりますが、、オーストラリアに行った時、空港の売店で会った、若い女の人でしたが、目が合った瞬間、素晴らしい笑顔を見せてくれました。
 連れの人達が居なければ、素晴らしい物語が始まったのに、と、返す返す、残念な思い出です。
 素晴らしい笑顔に出逢うと、この人生も、なかなか捨てたもんじゃ無いと思いますね。
 逆に、最悪のもあります。
 あれは東京から帰って来た時の事でした。
 前橋駅近くの駐車場から出て、近くの交差点で信号待ちをしていました。
 すると、向こうから、黒塗りの大きな乗用車に乗った男が来ました。
 何となく、この男は何処かで見た顔だなと思い、思わず、じっと見たのです。
 ところが、向こうも私をずっと見ていたのです。
 そのまま、その男の車は、私の前をカーブを描いて通過して行きました。
 ものの、2,3秒間だったと思います。
 男と私は、目を合わせたままでした。
 私の方は、男の動きに合わせて、顔をぐるっと回していたようです。
 今、考えると、少し滑稽な動作に思えますが。
 過ぎ去る瞬間、その男が、「この、バカヤロー」と、大声で叫びました。
 窓が開いていましたから、十分すぎるほど、聞こえました。
 男は、50歳前後と思われました。
 まず、呆れて、次に、驚きました。
 もう分別のありそうな年齢なのに、あの様は、どう言う事だ。
 もしかしたら、その筋の人だったかも知れません。
 もし、歩いて居る時に、出逢った居たら、大変な事になっていたかも知れません。
 どう言う訳か、私は、人と目を合わせる事が多いみたいです。
 それで、厭な事もありましたから、人を見るのを止めようかと思った時もありました。
 でも、学生時代、ガン付けは、お互い様の現象だと気づき、それなら、此方だけ悪い訳じゃ無いのだから、遠慮する事は無いと決めました。
 勿論、私が、主に見るのは、若い美しい女性が、殆どです。
 男を見るのは、余程、何か変わった、目立った人で無い限り、見る事は無いです。
 基本的に、男は見る対象では無いのです。
 これから、幾許もありませんが、是非、素晴らしい笑顔に出逢いたいものです。


<あの、上州無線さんが出逢った、最高の笑顔は、何時ですか?>
<宝は秘してこそ宝、言えないね>
 


俳句


笑顔から 始まるものは 愛の歌