上州随筆俳句

 長くアマ無線をやってきましたが、一昨年、電信愛好家のためにパソコンによる電信自動送信装置「CWBOARDKK」を作りました。
 本ブログには、アマ無線の活動及び古稀世代の色々な方面について、感じたままの随筆と俳句が書いてあります。
 

マダムジュジュ

 今年も、北国から雪の便りが届くようになりました。いよいよ冬の到来です。
 と言う事は、マダムジュジュの季節がやって来たのです。
 マダムジュジュ?
 まあ、男の人は、大抵、知らないでしょう。女の人でも知らないかも知れない。
 あっ、貴女はご存じですか。すると、私と同じ古稀世代かも知れない。
 では、これを御縁に、不倫マダム関係になって、うんと仲良くしましょう。
 さて、マダムジュジュとは、モイスチャアクリームの商品名です。大阪のジュジュ化粧品株式会社の製品。
 私は、このクリームを、空気が乾燥する今頃から、桜の季節位まで使います。
 夏は、使用しない。主に、秋と冬です。
 高校生の時、石鹸で顔を洗うと、肌が乾くようになったのです。すると、頬が引きつって何か、とても不快でした。 
 ある時、それを父に話したのかも知れません。そうしたら、父は使っていたマダムジュジュを私に、使うようにと、くれたのです。
 きっと、親子で肌の特性が似ていたのですね。
 今となれば、マダムジュジュは、言わば、亡父の形見でもあります。
 それ以来、私は、頬が乾燥する時期になると、マダムジュジュを使うようになりました。
 もう、かなり古い製品なので、薬屋さんで買うのですが、最近は、置いてない店も多いです。置いてあっても、一つか二つしか置いてないです。
 もし、これが製造中止になったら、困るなあ、と私は思っています。
 さて、ジュジュクリームですが、頬が突っ張るのを抑制してくれますが、それ以外にも利点は、あるみたいです。 
 と言うのは、まだ現役の時、ある人から、とても若いですね、と言われました。
 でも、その当時、白髪頭のままでしたから、若いと言われて、この人は、よくもまあ、見え透いたお世辞を言うなあ、と思いました。
 それで、少し不機嫌モードで、詰問しました。
「こんな白髪頭の私を、どうして若いと言うのか、とても理解できませんね」
 すると、白髪は、正に、その通りだが、顔の肌が、とても若々しい、と言いました。
 更に、何か化粧品でも? と聞かれました。
 マダムジュジュと答えるのは、男として恥ずかしかったので、いや、何もしていません、と答えた記憶があります。
 なので、肌の健康維持にも、マダムジュジュは貢献してるのかなと思ってます。
 何しろ、使っている化粧品は、それだけですから。
 そう言えば、95歳で亡くなった父も、高齢の割には、死ぬまで綺麗な頬をしていました。  
 まあ、顔を石鹸で洗ったままよりは、その後、マダムジュジュを使う方が、多少は、良いのは、当然ですね。
 それにしても、母が娘に化粧品を教えるのは、珍しくないと思いますが、父が息子に化粧品を教えてくれたのは、本当に珍しい事ですね。
 厳密には、化粧品と言うより、まあ、肌の薬の意味ですね。
 でも、誤解無きように言えば、父が、息子である私に教えてくれた事は、勿論、「化粧品」だけでは無いです。
 父から教えてもらった事、受け継いだ事は、沢山あります。
 まず、肉体的に受け継いだのは、大きな肩幅ですね。
 それと、カンナやノコギリなど、木工工具の使い方、刃物の研ぎ方なども、丁寧に教えてもらいました。 
 また、家の畳で、小さい頃、柔道を教えてもらいました。
 その時、組み合った父の体がとても柔らかかったのを、今でも、よく覚えています。
 格闘技をする人は、体が柔らかくないと、駄目なのです。 
 私も、その体質を受け継ぎました。体は、とても柔軟性があります。ですから、そのお陰で、運動等に於いて、大きな怪我をした事はないです。
 それと、数学的能力も、多分、父の方から、受け継いだと思います。  
 また、父は手先が、大変に器用な人でした。
 生前、印鑑までも自作しておりました。篆書体や印相体の難しい文字の印鑑も、いとも簡単に彫って居ました。
 父が亡くなってから、その印鑑を受け継ぎ、土地の売買など重要な場面で、それを使っています。手に取って、見ると、何処か威厳のある印鑑です。
 しかし、受け継がなくて良かったものもあります。
 それは、煙草です。
 もう中学生の時から、父は、私に煙草を勧めてくれました。ですから、家で、煙草を吸っても怒られる事は無かったです。普通の家とは、全く逆でした。   
 私は、父に似て、煙草が非常に好きでしたが、35歳位の時に止めました。  
 ある医学祭で、喫煙家の肺モデルを見たら、煙突の中と、全く同じ、真っ黒な厚い煤で一杯でした。 
 これでは、体に良い筈は無いと思いました。
 また、煙草を吸う人が、声を出せば、細かい肺の煤が、話してる相手に向かって吐き出される事になる。
 そんな説明を聞いては、吸って居られなくなりました。
 さて、ヘビースモーカーの父でしたが、死ぬまで肺がんにはなりませんでした。
 でも、父が、1週間だけ煙草を止めた時期がありました。
 それは、健康診断で、肺がんの疑いがあるから、精密検査をすると言われた時でした。結果は、陰性でしたので、その日から、大喜びで、父は、蒸気機関車のように吸い出しました。 
 さて、今使っている、マダムジュジュですが、もう残り少なくなって来ました。
 来年の春辺りには、また、新しいのを買う事になるでしょう。 



俳句


ヤスリにて 歯を磨く父 懐かしき (煙草のヤニをヤスリで落としていたのです)