上州随筆俳句

 長くアマ無線をやってきましたが、一昨年、電信愛好家のためにパソコンによる電信自動送信装置「CWBOARDKK」を作りました。
 本ブログには、アマ無線の活動及び古稀世代の色々な方面について、感じたままの随筆と俳句が書いてあります。
 

川底の必然

 因果応報、なかなか含蓄のある言葉である。
 意味は、そんなに難しくはない。要するに、何かの結果には、それに先だっての原因が必ず、存在する、と言うことである。
 西洋にも同じような諺が流布している。
 Whatever is,is right.
これは短い言葉だが、宗教的な響きをも持っている。
 訳は、Whatever is(存在するものは),is right.(全て正しいのだ)
 若い頃、私は囲碁大会で決勝戦に臨んだ。師匠のT先生が、盤端で観戦していた。中盤から形勢がますます悪くなってきた。私は溜息を漏らした。すると、T先生が、小さく呟いた。 
「負けるように打ってるから、負けてくるんだ。分かるか」 
 正に、この瞬間が、Whatever is,is right.であった。
 因みに、その後は、T先生の言葉に奮起し、劣勢を立て直し、見事優勝を遂げた。
 T先生は、囲碁を通して、この世の真実を見抜いていたようです。
 さて、ある時、何十年も川底だけを描く画家と話したことがあった。
 つまらない川底なんか描いて、この画家は何が面白いのかと思った。もしかして川底に硬貨でも落ちているのだろうか。
 色々話していると、その画家が言った。
「川底にある石や砂は、どれも必然性があって、その場所に位置しているんです」
 なるほど、よく見れば、流れの速いところに、砂や小さな石などは見られない。流速に負けない大きな石だけが、そこに位置している。
 全く乱雑に見える川底だが、実は、一定の法則の下で、川底の石模様は出来ているのである。
 川底にある、この必然性を、この画家は、表現したかったのである。
 そういう事か、やっと分かった。
 川底の世界にさえも、因果応報の原理が確立していると言う事。
 この因果応報は、うまい話に騙される人、怪しげな新興宗教に勧誘される人、インチキ株取引に誘われる人等にも、厳然として存在する。
 騙される人達は、普段の生活に於いて、将来、不幸に遭う素質を、既に持っているという事である。
 詐欺師は、その鋭い感覚で、詐欺に掛かりやすい人達を見分けて、徐々に接近して行く。だから、天才詐欺師にしても、誰でも騙せる訳では無いのだ。
 彼らは、これと狙った獲物を決めると、慎重に注意深く、距離を縮めていく。
 もう、こうなったら、逃げられない。終わりです。
 更に、悪いことは、周りのものが心配して、その被害者に危ないよ、と注意しても、大抵の場合、当人は聞く耳を持ちません。一旦、騙されてしまうと駄目なんだね。
 やがて、因果応報の原理の通り、悲惨な結果が訪れる事になります。
 因みに、ある調査に依れば、人が騙される原因のトップは、自惚れであると、されてます。
 そうであれば、「自分は決して、有能では無い」「自分は決して美人なんかでは無い」「自分に、そんなうまい話が来る筈が無い」と思って居れば、詐欺に引っかかる事も無さそうです。
 さて、この世は全て、「因果応報、Whatever is,is right.」の原理で動いていると、理解、諦観してしまえば、貴方は、将来、悪い結果に出会っても、泣き騒ぐこと無く、泰然と、目前の不幸を静観出来るようになります。
 こんな結果が出たのは、自分が馬鹿な事をしたからだ。正しく当然の結果だ。
 こう思えるようになったら、完全に、悟りの境地。もう悩まなくなるでしょう。
 世に起きる事は、全て必然の結果である。うーん、なかなかそう思えない部分もありますが、でも、やはり、そうかも知れない。
 もっと具体的に言えば、現在の自らの不運は、突然、やって来たのではなくて、過去の自分自身がもたらしたものである。
 うん、これは、そうですね。これは、すごく納得出来る。例えば、老妻の存在は、すべて、過去の私がもたらしたものである。それは確かな事。
 だから、老妻に文句は言いませんよ。私の自業自得なんだから。

 


俳句 


自惚れも ほどほどにして 騙されず


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