上州随筆俳句

 長くアマ無線をやってきましたが、一昨年、電信愛好家のためにパソコンによる電信自動送信装置「CWBOARDKK」を作りました。
 本ブログには、アマ無線の活動及び古稀世代の色々な方面について、感じたままの随筆と俳句が書いてあります。
 

電信綺談

 歴史上の天才の伝記は、大抵のものが誇大に書かれている。
 簡単に言えば、嘘である。でも、普通は、そんなに目くじらを立てないで、笑って聞き流すべきものなんだと思う。
 とは言え、自分が、その事柄に少しでも関心、知識があると、何かしらは言いたくなるものだ。
 あの発明王エジソンが、やはり天才と言われたテスラに会った時、二人は、肩を叩き合って雑談したと、何かの本に書いてあった。
 要するに、モールス信号で、会話したとのことである。モールス信号ならば、私もそれなりの技術を持っている。だから、何か言いたくなった。
 さて、そんなことが可能なのであろうか。
 確かに、エジソンは、若い時、電信技師をしていたから、それはモールス符号を解読出来ただろう。若い時に覚えた訳だから、すぐに上達したことも推測出来る。
 でも、エジソンの時代には電話も無線もまだ無かった。モールスは、テープ式印字機で受信したものを見て、解読したと思われる。
 即ち、エジソンはテープの印字を目で見て、解読したのである。此処が重要な点である。
 今現在、無線でモールス電信を受信する時、二つの方法がある。
 一つは、国家試験などでお馴染みの筆記受信である。今はもう、業務でモールス通信をすることは廃止されたが、昔は、モールスは業務に使われていた。その時、受信は筆記受信だった。
 それは当然である。受信内容を記録に残さなければならないからだ。
 もう一つは、現在のアマチュア無線で使われている、暗記受信である。
 これは、手書きで記録せずに、頭の中で、直接、文章に直して受信してしまうものである。アマチュアの場合、仕事では無いから、受信内容が不正確であっても、誰も文句は言わない。
 だから、一々、手書きでメモする手間を省いてしまうのである。暗記受信なら、すぐに応答出来て、迅速な会話も可能だし、それでこそ楽しい交信となる。
 簡単に言えば、筆記受信は業務用、暗記受信は趣味、遊びのためである。
 さて、筆記受信と暗記受信は、全く別の技術である。此処が重要。
 従って、例え、筆記受信の旧1アマに合格したとしても、七メガの電信バンドに出て、暗記受信による流暢な交信をしようと思っても、出来ない。
 筆記受信は、全部受信し終わってから、その内容を読んで理解する。暗記受信は、受信すると同時に、頭の中で文章に直して理解する。
 似たような作業と思うかも知れないが、やってみれば分かる。全然、別物であり、もう一つの方法をマスターするには、また、相当の練習が必要だと分かる。
 エジソンは、テープ式の電信を目で解読することは出来たろうが、しかし、肩叩き法で解読することは出来なかった筈である。
 何故なら、肩叩き法による電信受信を練習したとは、到底、思えないからだ。そもそも、肩叩き法による電信技術など、練習しても使い道すら無い。
 要するに、肩叩き法での電信など、エジソンにしろ、他の誰もやっていなかったと思う。
 さて、テスラだが、電信をやっていたか、どうか不明である。やっていなかった可能性の方が強いと思う。仮に、電信を解読する技術を持っていたとしても、やはり、肩叩き法は練習していなかったことは、確実だろう。
 となれば、二人が肩叩き法による電信で、会話する事は不可能だったと分かる。
 今、試しに肩叩き法をやってみたが、やってる内に気持ち良くなって眠くなってしまった。どうも肩が凝って居たようだ。
 肩凝り解消には効果があるのは確かである。
 エジソンとテスラは、当時、発電や配電などでも競争していた、発明の天才である。
 天才を美化したいのは分かるが、必要以上なのは、何か馬鹿らしくなる。
 さて次は、偉大な天才ゲーテの死に際しての言葉。
 「もっと光を」
 さすがに、高邁な詩人は死に臨んでさえも、深い意味のある言葉を言うものである。
 死にたくないとか、息が苦しい、腹が痛いなんて事は間違っても言わないらしい。
 果たして、そうだろうか。
「もっと光を」に続く言葉を聞けば、なあんだと思ってしまう。
「部屋が暗いから、カーテンを上げてくれ」
 全部の言葉を聞けば、特に、普通の人でも言う言葉だと分かる。
 天才とは、一つの分野に特に優れているだけなのだ。
 まあ、余り言うと、彼のファンから憎まれるので、この辺にしておきます。




俳句


秋雨や アンテナ揺れて 光る玉