上州随筆俳句

 長くアマ無線をやってきましたが、一昨年、電信愛好家のためにパソコンによる電信自動送信装置「CWBOARDKK」を作りました。
 本ブログには、アマ無線の活動及び古稀世代の色々な方面について、感じたままの随筆と俳句が書いてあります。
 

神の作戦

 あれは母が亡くなって、すぐの時でした。遺体の横に茫然と、立ち尽くしていた父が、不意に腰をかがめて、何か少し呟いた後、母の額にキスをしました。
 大正生まれの男が、亡くなった妻にキスをしたのです。私はビックリしました。そんな器用な夫婦には、絶対、見えなかったですから。
 父は私の方を振り返ると、問わず語りに言いました。
「今まで、おれは、〇〇さん(母の名)と、しみじみと、心の底まで話した事は、一度も無かったよ」と。
 もう亡き妻と二度と話す機会が無くなった事を知り、今まで心の会話をしなかった事を、父はひどく後悔したのでしょう。
 でもまあ、世の夫婦なんて、みんな、そうなんじゃないかなって思います。
何から何まで、100%ぶちまけてしまう夫婦なんていないでしょう。
 若い時に出逢って、一緒に家庭は作ったけれど、それぞれが、想いを秘めて、少し離れた道を歩いて行くのが、夫婦の人生なのかな、と私は思うからです。
 誰にだって、他人様には言えない秘密めいたものがあると思います。それは胸に入れたまま、お墓に持って行くわけです。
 若い時は、何か相手に秘密めいたものを感じると、不安になります。当然です。
 もしかして、浮気して、それが本気になって、自分は捨てられてしまうかも知れない。
 それは無理もない思考です。
 でも、ある程度、それは人によって違うと思いますが、40歳位かなあ、になると、私は考えが違ってきました。
 相手が浮気して、幸せなら、それで良いじゃ無いかと。いい浮気相手を見つけて良かったね、と。
 もし、本気になって、家庭を捨てたいのであれば、それもいいと。
 要するに、もし家庭を維持する気が無くなったのであれば、相手に無理強いはしないという事です。
 夫婦も、緩やかな結びつきで行けば、いいと。相手をがちがちに独占するなんて、それは所詮、無理な事でしょう。
 でも、世の中には、双方が相手に夢中という夫婦も居ますが、それはそれで、大いに素晴らしい事です。
 以前、文芸評論家の江藤淳氏は、奥さんが癌で亡くなると、余りにも悲しくて後追い自殺しました。うんとうんと好きだったんでしょうねえ、奥さんの事を。
 命をかけて奥さんを抱いていたんだと思います。それって、今の私には、よ~~く、分かります。性的相性が抜群だったのだろうと思います。
 誰が見ても不釣り合いな夫婦、例えば、ブス奥さんと美男俳優が、ずっと離婚もせずにいる場合、それは、まず間違いなく、奥さんが名器の持ち主だからです。
 ブス奥様に、それ以外の何の取り柄も無くても、男は、それだけで満足してしまいます。
 だからこそ、あんなブス女と、どうして、あの男は一緒にいるの? と言う疑問が、この世に、常に、存在するわけです。
 一緒に居る理由が外からは、決して分かりませんから。まあ、分かる人には分かるのですが。
 何故、神様は、男を、その様にお作りになったのか、全く分かりません。
 逆に言えば、何故、神様は、女に男を拘束する力を授けたのか、と言う事になります。それは勿論、子孫繁栄のために、都合が良いんでしょう。
 男を自分の近くに置いて、即ち、引き留めておいて、狩りをさせて、食料を取って来させて、外の暴力的攻撃から家族を守るためには、何らかの仕掛けで男を繋いでおく必要があります。
 その仕掛けとは、だから、あれです。その超強力な仕掛けのために、男は離れられないのです。
 だから、離婚した夫婦は、まず、双方または片方が性的に満足出来なかった事が、離婚の大きな要因の一つであるのは、言うまでもありません。
 心の相性も大事ですが、それと同等、或いは、それ以上に大事なのは、体の相性です。
 現実には、どう言う訳か、体の相性は軽視されてますが、それは間違いです。
 毎日、すごい喧嘩ばかりしている夫婦でも、性的に絶妙なハーモーニーを有していれば、離婚する事は、絶対に、無いと断言出来ます。 
 さて、私はいくら好きでも、後追い自殺には賛成出来ません。
 生き残って、弔う方が良いと思います。
 それに生きていれば、また素晴らしい名器に出会えるかも知れませんから。
 ところで、私の先輩は、奥さんが膵臓癌で亡くなると、半年もしない内に、結婚しました。余りの手回しの良さに唖然としました。形だけでも一年位は待てなかったものかと、当時は、思ったものです。
 その先輩、確か、再婚後、二年ほどで亡くなりました。あの世から呼び出しが掛かったものと思われます。勿論、前の奥さんからです。
 ところで、私も父同様、老妻の事は殆ど知りません。
 知ってるのは、老妻は宝くじを買うために、毎月、かなりの額を使っている事。
 40年位前、老妻は宝くじで、〇〇〇〇万円当てたんです。止めなさいと何度か言いましたが、隠れて買っているのです。
 それと、学生の頃、走り幅跳びで約6メートル飛んで新記録を出した事。
 さて、老妻の方ですが、私の事で、唯一、知ってるのは、左利き位じゃないですか。私のパンツサイズがLLだと言うのも、知らないと思います。





俳句


夫婦とは 空を流れる 白い雲