上州随筆俳句

 長くアマ無線をやってきましたが、一昨年、電信愛好家のためにパソコンによる電信自動送信装置「CWBOARDKK」を作りました。
 本ブログには、アマ無線の活動及び古稀世代の色々な方面について、感じたままの随筆と俳句が書いてあります。
 

不見転(みずてん)

 前橋は、もう朝から32度位で、古稀青年の私は、些か、ぐったりです。さて、こんな時は、どうしたらよいのでしょうか。
 それは、下のような絵を見る事が正解です。誰が書いたのか、分かりません。先日、無料インターネットの画像で見つけたものです。一つは詩のイメージにぴったりでしたので、それに使いました。
 良いですね、この雰囲気。何とも言えません。眺めていると、暑さを忘れます。
 昔、岩田専太郎と言う画家がいましたが、あの人の描く女性も綺麗でした。この絵は、無名画家でしょうか。でも、私は飽きないなあ。 

   時は、明治の初め頃、三味線の音が聞こえて来ます。
「ねえ、まだ考えてるのかしら。いい加減に決めなさいよ」
「だって、あんな人、嫌よ。一緒に居るのも我慢なのに」
「ハゲだから嫌なの?」
「ハゲは関係ないわ。もう同じ部屋で同じ空気を吸うのも嫌なの」
「だって、お金持ちよ、両替商だし、回船も持っているのよ」
「でも、いや」
「あんたねえ、何のために芸者してんのさ。お金のためでしょう」
「それはそうよ。病気の母さんのためよ。でも、だからって」
「一寸、頭の中で、ひとつふたつと勘定して我慢すれば、300万円もらえるのよ」
「だから、それが我慢出来ないの」
「女は、その気になれば、何でも我慢出来るのよ。分からないの?」
「嫌なものは嫌」
「馬鹿ね、あんたは。佐助なんか忘れて、いい加減、不見転になりなさいよ」
「お願い、もう断って下さいな」
「しょうもないねえ、あんたって人は、三味線が下手なんだから、転ぶ位は、できなくちゃあね」
 左様、芸者の道は転ぶ事なり。されど、操固き芸者は更に良しと言うべし。