上州随筆俳句

 長くアマ無線をやってきましたが、一昨年、電信愛好家のためにパソコンによる電信自動送信装置「CWBOARDKK」を作りました。
 本ブログには、アマ無線の活動及び古稀世代の色々な方面について、感じたままの随筆と俳句が書いてあります。
 

浮気の価格

 渡辺淳一は、心臓移植の小説を書いた事で、札幌医科大に居ずらくなって、それで、已む無く、東京に行ったと、自伝にある。
 しかし、東京に行っても、作家として、必ず、成功する保証は何処にも無かった訳だから、これは、人生、一生に一度の、大博打だったと思う。
 でも、東京に行ったのは、彼一人だけで無く、ちゃんと愛人も一緒に行ったと言うから、さすが、最後の無頼派作家だった。
 でも、自伝を読んでから、ずっと不思議に思っていたのは、彼の家族の事である。
 奥さんは、彼の上京を何と思ったのか。
 医者だから、東京に行っても、いくらでも仕事には就けた筈だ。
 暮らしに、ひどく困る事は無い筈だ。
 だから、奥さんを一緒に連れて行っても、それほどの支障は無かったと思う。
「おれは、作家になるために、東京に行くから、お前は、札幌に残っていてくれ」
 こう言って、渡辺氏は、東京に行ったのだと思う。
 もちろん、実際は、愛人と行きたいから、奥さんには来てもらいたくなかったのだろう。
 その時、奥さんは、それで納得したのだろうか。
 渡辺氏は、東京に来てからも、また新しい愛人を幾人も作り、その華やかな女性遍歴を、更に輝かしいものにした。 
 また、よくあるように、愛人に店を持たせたりしている。  
 何時の頃か、自伝では分からないが、作家として成功した後、家族を東京に呼び寄せたようだ。
 渡辺氏は、生涯、その艶歴にもかかわらず、離婚はしていない。
 渡辺氏本人は、離婚する意志は、全く無かったと思われる。
 その間、奥さんは、氏の愛人遍歴を、もう熟知していたと思うが、どう思っていたのだろうか。
 愛人が沢山居たのに、何故、離婚しなかったか。
 よく世間では、夫が、少し浮気した位でも、すぐに離婚になってしまう夫婦が、少なくない。
 そんな例に比べれば、渡辺夫妻の場合は、ひどく不可解である。
 渡辺氏の母親と、奥さんは、あくまで推察だが、良好な関係だったように思える。
 それで、母親が、奥さんに言ったのかも知れない。
「息子の浮気は治らないと思います。でも、悪い人間で無いので、どうぞ、一生、面倒を見て頂けませんか」
 事実、母親は、渡辺氏の浮気について、本人に向かって、言っている。
「お前の浮気は、もうどうにもならない。それは病気では無い。何故なら、病気なら治るはずだから」
 渡辺氏の小説は、氏の体験を元に、再構成されたものが殆どであると言われている。
 渡辺氏も、何かの折りに、そう述べている。
 まあ、全く、実体験をそのまま書いたのでは、小説にならないが、実体験が基盤となっているのは確かである。
 奥さんとすれば、作家渡辺淳一を応援したいという気持ちで、小説のためなら仕方ないと思い、夫の浮気を容認していたのかも知れない。
 なかなか出来ない事だが、これも、一つの夫婦愛という事なのかも知れない。
 それにしても、世の中、浮気しても離婚しない夫婦と、浮気したら、即、離婚する夫婦。
 夫婦の形と言うのは、実に、様々ですね。
 私自身は、もう離婚はしたくないなあ。
 理由ですか?
 単に、面倒くさいからです。



俳句


離婚より お墓探しで 忙しい