上州随筆俳句

 長くアマ無線をやってきましたが、一昨年、電信愛好家のためにパソコンによる電信自動送信装置「CWBOARDKK」を作りました。
 本ブログには、アマ無線の活動及び古稀世代の色々な方面について、感じたままの随筆と俳句が書いてあります。
 

山麓の雨

 今朝は、朝雨です。
 ベランダの手摺りが雨で光っています。
 晩秋の雨は、一雨毎に冬の息吹をもたらしてくれます。
 これから、赤城山麓は、永い冬の衣を纏うのです。
 一葉散って、木枯らしを呼び、万葉は天を目指して、乱舞します。
 微かな冬の声に、遙か青春の思い出が蘇って来ます。
 我が家は,標高差で前橋市街と200メートル程度ですが、それでも、市街と比べて、かなり気候感は異なります。
 始めて、この地に引っ越して来た時、確か六月頃だったと思いますが、何か、観光地の高原に居るような気持ちになったものです。
 暑苦しい前橋の街とは違って、爽やかな高原の空気、それと、どこからともなく聞こえて来る、ウグイスやカッコウの鳴き声、まさに、山麓の高原ホテルでした。
 まあ、我が家の作り自体は、豪華なホテルとは大違いでしたが。 
 それが、数年経つと、近辺に人家が林立し、道は舗装されたものですから、夏になると、風通しは悪くなり、道路は太陽で焼けて、蒸し暑くなり、もう、来た時の高原ホテルは、姿を消してしまいました。
 それと、最初は、眼下に広がる、関東平野の、素晴らしい夜景が見えたものですが、前方に建物が出来ると、残念ながら、その一部が見えなくなりました。 
 この世は、何でも、変化、万物流転なんですね。
 さて、昨夜、書斎で本を読んでいたら、老妻が飛び込んで来ました。
「トイレの水道が止まらないよ」
 それではと、一階のトイレに行くと、もう、流れ出た水が、床にも貯まっていました。
 タンク上部から手洗い用の水が噴き出したままです。それが止まらないのです。
 すぐに、上蓋を開けて見ました。
 すると、水の流出を止めるシャッターに、何か物が挟まっています。これが原因です。
 手を水底に差し込んで、シャッターの下から、取り出すと、それはゴミのフィルターでした。 
 シャッターが閉まらないので、水がタンクに貯まらない、それでフロートが持ち上がらない、なので水の噴き出しが止まらない、と言う事だったのです。
 よく聞いて見ると、フィルターにゴミが貯まっていたので、老妻が掃除しようとして、強く擦ったようです。
 老妻の、いつもの豪腕ですから、フィルターのプラスチック製ソケットが耐えきれず、砕けてしまったのです。  
 これはプラスチック製のソケットを交換するしか方法が無いです。
 でも、こんなもの、建築屋に頼んでいたら、一ヶ月もかかってしまいます。
 アホらしいので、私が、ステンレスの針金をソケットに通して、何とか補修しました。
 接着剤が効かないプラスチックだったのです。 
 たった、これだけの事ですが、2時間もかかってしまいました。
 更に、一昨日は、老妻の部屋のエアコン、利きが悪いというので見たら、ゴミが一杯詰まっていました。
 このエアコン、高機能すぎて、掃除も簡単にできません。
 一応、自動クリーニングと謳ってありますが、どうも、それだけでは綺麗にならないようです。
 製作社名は伏せますが、家庭用としては、この製品、駄目だと思います。
 第一級アマチュア無線技士の私にしても、奥のフィルターまで取り出す事は、説明書だけでは、不可能でした。余りにも複雑すぎます。
 これに比べて、二階にある私の大容量エアコンは、構造が簡単で、掃除も楽です。いや、年間、掃除を碌にしなくても、ゴミが詰まる事はありません。
 何か工場用みたいで、フィルターの目が粗く、少々のゴミは無審査で通過させています。でも、この位の方が家庭用としては、使いやすいです。
 それで、老妻のエアコンは、掃除をするのに半日かかりました。   
 次は、乾燥機です。
 半月ほど前でしたか、独立式の乾燥機から,異音がするというのです。
 乾燥機自体は、すごく簡単な構造ですから、中を見れば、原因は分かると思いました。
 しかし、パネルを開けるのは、デカイので大仕事になります。
 出来れば、簡単に済ませたいものです。そこで、小窓のパネルを開けて、様子を見ました。
 動作中に、確かに、シューというような音がしています。
 摺動部分の故障か、コンデンサーのショートかも知れないと思いました。
 コンデンサーであれば、その内に自然治癒するかも、と思いました。
 それで、少し放置する事にしました。
 老妻には、音がしたら、使用を停止する事にして、そのまま乾燥機を使うようにと、言いました。
 そしたら、1週間位して、音がしなくなりました。
 パネルを開けて、大修理をする必要が無くなったので、ホッとしました。
 でも、本当に壊れたら、もう修理では無くて、買うつもりでした。 
 今は、低価格で買えますから。  
 それよりも、修理に沢山の時間を掛ければ、その貴重な時間の方が勿体ないです。
 ところで、以前にも少し書いたかと思いますが、私が居なくなった時、老妻は、このような問題に、どのように対処するのでしょうか。
 本当に、気が重くなります。
 さて、今朝は、木曜日、ゴミ出しの日でした。
 老妻は、6時頃起きて、いつもの様にゴミを出しに行きました。
 私が、台所で朝飯を食べていると、食卓の側に来て、「今日も一番だったよ」と上機嫌です。
 朝食後、二階の書斎で休んでいたら、老妻が走り込んで来ました。
「今日は、祝日でゴミ出しは無かった!」
 道理で、ゴミ出しが、一番の訳です。   
 事前に予定表をよく見れば、すぐ分かる事ですが、そんな事、老妻は、した事は無いです。  
 それで、折角、出したゴミを、再び、回収しに行ったら、ゴミが一つだけ、置いてあったそうです。
「あたしみたいに、祝日に出す人が、居るんだねえ」
 同じ仲間を発見して、老妻は、とても嬉しそうでした。
 ともかく、生まれつき、本は嫌いで、本を読む事は、学生の時でも無かったそうです。
 運動選手として、早く走る事の習性が、生活の中にも優先されて、褒めて言えば、拙速を尊んでいるようです。
 まあ、でも、拙速の問題点は、少なくないですね。
 あと、女にしては、力が有り過ぎます。でも、この力は、女性の運動競技者には必須だったのです。
 とは言え、その老妻の、余り物事を深く考えない、大雑把な性格で、私の人生は、自由で、細かく干渉される事無く、平和に過ごして来られました。
 その恩恵は、実に、有り難い事でした。
 窓の外が明るくなって来ました。
 雨は止んで晴れるようです。
 朝雨と女の腕まくりは、本当なんですね。古人の知恵は、大したものです。
 と言う事で、今日のブログは、「拙速」で終わりです。



俳句


朝雨に 赤き傘さし 歩く女(ひと)